しばらくはここ数ヶ月で購入した書籍の購入理由について 第26回

「エラリー・クィーン完全ガイド」星海社新書
ケマル・アタテュルク トルコ国民の父」山川出版社
グルメ漫画50年史」星海社新書

 1冊目は、推理小説が好きな人なら一度は聞いたことがあるかもしれませんが、エラリー・クィーンという作家名であり、名探偵の名前である作品に関する新書です。
 エラリー・クィーンは「読者への挑戦状」という形式で、名探偵がさてこれから謎解きをするぞ、という直前に問いかける方法で、物語の中から外の読者に向けて語りかけるスタイルは過去にもあったものの、推理小説で使った例はこれが初めてだったかと思います。
 作品名では「国名シリーズ」や「●(アルファベット1文字が入る)の悲劇シリーズ」が著名です。
 個人的にはちゃんと読んでみたいものの、手を出し切れていない小説であるため、副読本としてのガイドブックとしての新書は助かります。そういう理由で購入しています。


 2冊目は、現代につながるトルコを宗教国家であるオスマントルコからトルコへとアップデートさせた国民の父であるケマル・アタテュルクについて書かれた書籍です。
 この人物だけを書いた書籍はかなり少なく、他には新潮選書のケマル・パシャ伝」が該当するぐらいではないでしょうか。
 建国の父とも言えるこの方が行なった大きな政策のうち、言語政策と宗教政策があります。
 言語政策は、それまでのトルコはアラビア文字を使ったトルコ語を、ラテン文字へと切り替えていった。なぜなら、アラビア文字の場合は母音が表記されないため(発音はされます)、識字率にも影響を与えていたようです。
 そのため、言語政策において、自ら新たなトルコ語のためのラテン文字体系を整備し、普及させることで近代化を果たしました。
 また、宗教政策はイスラム教が主な宗教であるにも関わらず、国教から外し、政教分離を実施することで、他のイスラム諸国とは異なる立ち位置を獲得するようになったのです。
 ケマル・アタテュルクに関する書籍は少ないことから、見かけたらできるだけ買うようにするつもりですが、いまのところ収穫率は低いです。


 3冊目は、1970年頃からはじまったグルメ漫画の歴史を取り扱った新書です。
 2000年以降、急速にグルメ漫画のテリトリーが広がり、多種多様な作品が世に送り出されてきましたが、著名な美味しんぼクッキングパパなどを含め、どこからはじまり、そしてどこへゆくのか、という50年の歴史を解説していることが、目次からよくわかります。
 ジャンル史のひととして購入していますが、マンガでもこのようにジャンルを絞った歴史を見ていく書籍は今後も出てほしいものです。少なくとも、エンタメにおける、扱ったジャンルのジャンル史の影響力は思った以上に広がりを見せていると思います。
 エンタメ関係の歴史はやはりちょっとずつでも整理しないと、新規にエンタメに参加するクリエイターは過去作の何を振り返ればいいのかもわからずに、業界の洗礼をうけることになりますので、手軽にふり返ることのできる新書は重要です。