しばらくはここ数ヶ月で購入した書籍の購入理由について 第13回

iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」アスキー新書
「きらめく映像ビジネス!」
ナノテクノロジーの世紀」ちくま新書

 1冊目は、iPhoneが日本で販売された2007年の翌年に書かれた新書です。Apple社は、個人的にはMacintoshというパソコンを発売した会社ですが、1990年後半あたりからの微妙な経営を経たあと、追い出されたはずのスティーヴ・ジョブズ氏がまた戻ってきてからのiPhoneの発売だったため、何を出してきたのだろう、という意味では周囲も含めて興味深く見守っていたり、実際にiPhone3Gを購入していたりもしていました。
 では、そのApple社がどんな会社か、というのは広報を通しての、あるいはふたりのスティーヴ(スティーヴ・ジョブズと、スティーヴ・ウォズニアック)という創業者や、そこから会社の経営を引き継いだ人物の話など、とにかく「会社より人」の動向が注目されるニュースが多かったように思います。
 これは、パソコンにおいてライバルのMicrosoftビル・ゲイツは、ビル・ゲイツに注目するという意味では、会社の風土などはあまり目を向けられることはなかったと思います。
 そういった意味で、iPhoneのような製品を世に送り出す会社がどんな変遷を辿ったのかを新書で情報として入手できるという理由から、この新書を購入しました。


 2冊目は、映像ビジネスについてですが、基本、目次を眺める限りは、映画とテレビという2つの題材を主眼に据えているようです。
 映像ビジネスは、華やかな面が強調されるものの、コンテンツビジネスとして見た場合には実際にはどういう構造になっているかを含めて書かれているようです。
 すくなくとも、この新書は2004年に発行されていますが、その表の表紙の見返し、表2のところには「コンテンツビジネス」という単語がきちんと書かれていますので、いまとなっては「コンテンツ」という単語も馴染んできましたが、新書で普通に描かれるぐらいには当時すでに一般化したんだな、と。
 個人的には、1996年頃には、仕事上の英語のソフトウェアの使用許諾契約書で「コンテント」という単数形での単語を確認しており、英語は苦手な自分は上長(この方は英語が比較的得意なほう)に辞書を引いても意味がよくわからないので聞いてみたところ、「うーん、日本語に相当する単語がないんだけど、無理やり直訳すると、なにか入ってるもの、のことなんだけど、説明しづらいな。君のほうが若いからわかるんじゃない、なんとなく」と答えを返していただいたのですが、むしろわからなくなったぞ、と思ったものです。ただ、この単語は結局「内容物」のような感じで、そのなかが何かを示しているのではなく「中に入っている何か」のことを指している抽象名詞なので、何かに入っているモノはすべて「コンテンツ」であり、その文脈で「書籍の中に入っている小説」もコンテンツだし、テレビ放送の電波に載っているのもコンテンツ、になるわけです。
 そんなわけで、映像ビジネスをコンテンツビジネスは「映像が入っている何か」であり、こちらはコンテンツ史や映像史、メディア史という側面からやはり新書を購入しています。


 3冊目は、ナノの大きさ、つまり極小の世界、原子や分子をどう変化させるかによって、そこから新たな技術が生まれてきて、産業として活用するための時代がやってきていることを解説した新書です。
 2002年発行なので、いまからすると、20年も前の時代となりますが、こうした極小の技術によって、新製品開発がなされるようになりわかったことがあります。
 これはまだ本書を読んでいませんが、「極小の世界に干渉する技術や資金がないところは算入できない」という壁があるということです。
 いろんな材質の部品などは、その性質が完全に満足する特性を持っているわけではないこともあります。そしてそれは珍しくないことです。
 ところが、ナノテクノロジーは、満足するように変えてしまうことを前提に考え、技術として確立していくため、手の出せない領域に手を出せるようになるという意味では、フロンティアに立ったと言えるのです。
 そういったナノテクノロジーの世界が20年ぐらい前の時点で、どこまで進んでいたかを確認する意味もあり、この新書を購入しました。