しばらくはここ数ヶ月で購入した書籍の購入理由について 第15回

「〈狐〉が選んだ入門書」ちくま新書
「東京・同時多発テロ角川oneテーマ21
「米ハフィントン・ポストの衝撃」アスキー新書

 1冊目は、ペンネーム〈狐〉氏が入門書を紹介していく新書で、文学や美術などの分野のちょうどよい入門書について書かれている書籍です。
 新書でなくとも、知らない分野について教養書や実用書を読む前に、その分野をざっくりと網羅した書籍がどれなのかは、それこそその分野の素人には区別がつきません。
 この書籍は、そういった際の指針のひとつとして機能することを期待して購入している部分が多分にあります。
 とはいえ、普通に入門書としてだけ紹介されては、はたしてその本を読もうと思うかどうかはまだわかりません。
 図書館司書から随筆家へと転身した著者がそれらをどのように「この入門書はこういう理由でお勧めです」の「こういう理由」に期待して本書を購入いたしました。


 2冊目は、首都での計画的なテロをテーマとした新書です。現実に起こってほしくはありませんが、エンタメの企画などを考えていると、思考実験的にそういうシチュエーションがどうやったら成立しそうか、あるいは成立したと見せかけることができるかを想像することはままあります。
 思考は罰せず、と言うように、どんなに頭の中でたとえ猟奇的な犯罪を考えようとも、実行しない限りは自由であり、それは罰せられる犯罪とはなりません。これは法学の基本の考え方のひとつだったと思います。
 そのうえで、起こり得る可能性のある嫌な事態は避けたい以上、考えないという思考停止の選択肢は不適切で、こうなったらこうしよう、をシミュレートして考えることが必要です。
 そういう「起こったらどうしよう」を「起こったらこうしよう」に変えるためのいろんな想定のひとつが、本書の扱うテーマです。
 何があっても生き延びられるように、と考えることが多いので、書籍を購入する理由はそのケース・バイ・ケースを知るためです。


 3冊目は、ハフィントン・ポストについて書かれた新書で、ざっくり言えばネット新聞として経営が成り立った初の会社について書かれているという。
 目次をざっと読む限りでは、ネット時代において、新聞とジャーナリストとジャーナリズムの関係が、分かたれてきた流れを記録しているように読める。
 実際のところ、新聞社という存在も米国からもたらされた文化であり技術であるが、その後の新聞社という存在が何をどういう風に報道してきたか、という点では多様な意見があるかもしれないが、報道に対してお金を払う、という考え方がネットでは無償でコンテンツが提供されるという姿勢のなかで、どう振る舞ってきたかという点で興味深かったこともあり、この新書を買いました。
 2013年に刊行された書籍ですので、東日本大震災後の報道をどう捉えるか、という意味でも興味深い動きだと思っていたのも購入理由です。
 同時に、ネット新聞を架空の世界の企画として考えたとき、パイオニアがどうあったか、という見方もできますので、いろんな面から気になります。