しばらくはここ数ヶ月で購入した書籍の購入理由について 第9回

「鬼と日本人の歴史」ちくまプリマ―新書
「日本アニメの革新 歴史の転換となった変化の構造分析」角川新書
「工手学校 旧幕臣たちの技術者教育」中公新書ラクレ

 

 1冊目は、日本の鬼の新書です。日本の、とわざわざ区別するようにつけたのは、中国大陸からやってきた概念だからです。その後、日本人のなかで、鬼がどのように変遷していったのかが目次から伺えます。
 書籍を購入した理由はシンプルに、物語やゲームの企画を作る際の資料となるからです。他にも鬼に関する書物はいくつかあるのですが、シンプルに鬼に絞った書籍となるとぐっと減ってしまうようです。
 鬼は時代によって、人とのかかわり方が大きく変わってきている部分があるのも、古くから存在するからこそ変わっていったことで生き残った存在でもあるのかな、と思えるのです。
 また、鬼と日本人の関係について概観できる資料はあまりないため、そういった点でも購入しました。実際には見かけた瞬間に買い物かごに放り込んでいて、他の書籍とレジに足を向けることになりました。

 

 2冊目は、節目であり、「●●以前、●●以降」のような転換点となるアニメについて分析・批評した新書です。
 アニメや特撮に関するライターである氷川氏は、「鉄腕アトム」で幕を開けたアニメ史を、だいぶ近年の「君の名は」まで含めて7つのアニメを取り上げ、それらが転換点である理由を解析、解説しています。
 社会にまで、あるいは他の文化にまで影響を及ぼしたアニメ作品というのは、そんなに多いわけではないと思いますが、同時に影響を及ぼしたアニメは誰しも「名前ぐらいは聞いたことがある」ぐらいなのです。
 この認知度という意味でも、たとえそのアニメを観たことがなくても、広く知られている事実が影響力の大きさを物語っている気がします。
 自分もここに挙げられているアニメを全部は見ていませんが、ではプロのライターはどう見たのか、という方向から興味があるため購入しました。

 

 3冊目は、工手学校という旧幕臣からの流れの技術者教育に関する歴史を綴った新書です。いまの名称は「工学院大学」となっています。
 工学は国家発展の基礎である、という考えから旧幕臣のネットワークによって、そして旧幕臣が新たな舞台で技術者として再度地位を別の形で獲得していくことも含めて、技術者(エンジニア)教育の流れができあがっていったのです。
 そういった、いままで見えていなかった技術「者」史が学校というフィルターをとおして見えるようにまとめられたのがこの新書であり、それらの見方に不案内だったことがこの書籍を購入したきっかけとなっています。
 この工手学校の設立には、明治期の早々たる財閥が賛助会員として惜しみなく援助していることからも、産業の発展と経済の発展には技術者の育成が必要である、という点でも重要視されていたことがわかります。また、旧幕臣や下級武士なども苦学して、この学校や工部大学校の門をくぐったのも、官僚や軍人、そして商売人以外に技術者という職業によって立身出世することができたという点も見逃せず、ちゃんと人物中心に技術者史に斬り込んでいきながらも、新書のサイズに収めた点も含めて、購入した理由となっています。